スタッフブログ

2022/06/01 19:38


ネクタイを締めたおじさん達は会議室でこんな会話をしています。

「アウトソーシングの広告がアドマイアに則ってなからASAPで修正して」

「でもコンプラ的にアウトな部分はどうしますか?」



ルーズソックスを履いたegg女子は渋谷でこんな会話をしています。

「ギャルべってないからこみこみできゃぱいね」

「超チルなラッパーじゃん!」



正直、どちらも僕にはよくわかりません。

自分から離れている事象だったり、わからないことを理解するのは

とてもめんどくさくて疲れる作業です。

(ASAPは「できるだけ早く」きゃぱいは「キャパオーバー気味」だそう)

でも少しずつ興味の視点をずらしていくと、

そんな疲れる作業も笑いながら勉強できる楽しみになるかもしれません。

と、いうことで今日はちょっと難しい「コンプライアンス」のお話を

「アイドル」に落としこんでいきましょう。




コンプライアンスを噛み砕いて表現するなら

「ルールを守ろう」ってこと。

(「コンプラ」なんて略したりもしますね。)






時々、江口さんと話していると

この人は深い質問をしてくるなと思う時があります。

印象に残っているのが…


「安心して推せるアイドルになるにはどうしたらいいですか?」


という質問でした。

いろんな視点が入った面白い考え方だと思いませんか?



そんな簡単に正解を出せる質問ではありませんが

僕が伝えたのは

「ブレーキを勉強しましょう」という答えです。








時間をだいぶ遡って僕の学生時代

航空宇宙工学を専攻する友人がいました。

仲間同士で車を組み立てて自動車レースに出場していた彼はよく

安い酒を飲みながらこう熱く語っていました。


レースで速く走るために必要なのは「ブレーキ」だ!


マリオカートで全くブレーキを使わず

速く走るならエンジンを強くするとか、空気抵抗を減らすとか

「前へ進む力」に目がいきがちな僕たちには理解できない言葉ですが…


酔っ払いの話を要約するとこんな感じ


100km/hで走ると曲りきれずコースアウトするカーブがあったら

どんなに速い車でも100km/h以下にスピードを落とさなければいけない。

最高速度から100km/h以下にスピードを落とすのに10秒かかる車と

1秒でスピードを落とせる車では後者の方がカーブギリギリまで最高速度を保てる。

だから速く走るにはブレーキが大事なんだ。




目から鱗です。




実際はこの数行を酔っ払いが2時間くらいかけて話していたので

だいぶ割愛していますが

江口さんの

「安心して推せるアイドルになるにはどうしたらいいですか?」

という質問からそんな記憶が蘇りました。



安心して推せるアイドルに必要なのはブレーキの力です。



今のアイドルは私生活を切り売りするのが仕事になってしまっています。

毎日SNSに魅力的なコンテンツを投稿するために生きてしまうというか…

ファンの要望に応える素晴らしい振る舞いだと思いますが、

一方でその生活は「スピードを出しすぎてカーブを曲がり切れてない人」も生み出しています。



撮影禁止場所で撮影していないか?

車内の動画でシートベルトは閉めてるか?

表現方法でお店に迷惑をかけていないか?



面白いからなんでも発信していいなんてことはありません。

これはアイドル全員を集めて研修をやってもいいくらい大事なことです。

この辺のことは江口さんに口酸っぱく伝えているので

本人の中でコンプラ意識が高まってきているのか不安になった時は

「楽屋でこんな話が出てるがツイートしても大丈夫ですか」と

連絡がきます。



コンプラ的にツイートできない楽屋話ってどんな話だ!

という気になる点もありますが、

こういう部分でちゃんとブレーキが踏める、カーブを曲がる意識がある状態こそが

「安心して推せるアイドル」ではないかなと思っています。





「やらない」を決断できる力。





少し話が脱線しますが…

2022年春のワンマンライブは60名限定としました。

これは人数競走を「やらない」と決めたからです。

実は年間4回のワンマンライブ開催を決めた時に動員目標を立てました。


「のべ400人」


年間を通してワンマンライブに400人呼ぼうというのが最初の目標で

1年を通して「動員」と戦って見える景色を見に行きたいと思い

いろいろ計画していましたが…



あきらめました!



何度もお伝えしているので繰り返しになってしまい大変恐縮ですが

コロナ禍において動員数を目標にするのは非常にナンセンスです。

この時は人数競争を「やらない」かわりに60名を楽しませる

演出やパフォーマンスのクオリティーに力を入れて

満足度を上げる方向に舵を切りました。



結果的に満足度が高くなったファンの方が

次のライブに来てくれるという好循環が生まれています。



もちろんファンの満足度アップは

江口さんの努力の賜物に他なりませんし

江口さんが「ブレーキの力」を信じてくれたおかげです。




夏のワンマンでチケット販売目標120枚というのは

僕らにはとても難しい挑戦ですが

「ブレーキ」について考えているからこそ

全力で目指せる目標なのだと思っています。




時代と共にかわっていく「コンプライアンス」という言葉の意味を

僕らは勉強し続けなければいけませんが

コンプライアンスという壁すら演出の力で乗り越えていけたら素敵だなと思っています。





↓これからも安全運転でお願いします。