2022/06/02 20:12
時には主役を助け、時には自ら笑い者になり…そんな縁の下の力持ち「おじさん」。
ライブ会場の主役といえばもちろんキラキラとステージに立つアイドルです。
おじさんは決して主役になれません。
スポットライトに照らされて夢や希望を語って…そんな輝かしいアイドルの脇役。
今日はとても魅力的で不思議な力を持ったバイプレーヤー「おじさん」のお話です。
僕が江口さんのスタッフをするようになって感じたこと…
現場にいるおじさんはどうしてあんなにニコニコしているのか?
いつも不思議に思います。
僕にはこれといった趣味はなく週末でも出かける先は仕事関係の場所ばかり。
ライブハウスに出入りするようになるまで
仕事以外で渋谷や秋葉原の街を歩く事なんてほとんどありませんでした。
そんな僕にとってライブ会場ではしゃぐおじさんの
「自分の好きを素直に貫く姿が」羨ましく見えているのかもしれません。
ライブハウスの客席の、さらに後ろからおじさん達を見ながら
自分が主役ではないのに応援する「脇役の美学」について考えていると
むしろそんな「おじさんの活躍の場を作るのがアイドルの仕事」なのではと思わされてしまいます。
僕はテレビ番組、中でもドキュメンタリーのVTRを作ることが多くあります。
映像や本、もしかしたらこのブログもそうかもしれませんが物語を作る時は
読み手(聞き手)に想像させる事が大事と教わってきました。
昔、アメリカのアイスクリーム屋さんへ行った時
仲良くアイスを食べる老夫婦に出会いました。
ただそれだけのことなのですが
なんだかすごく引き込まれる空間だったな、と
10年程たった今も思い出す事があります。
あの夫婦はどうやって出会ったんだろう?
どんな会話をして、どんな喧嘩をして
どんな道を歩いてきたんだろう?
アイスを食べるのが2人の日課なのか?
近所のスーパーで夕飯のおかずを買った帰りで
「久しぶりにあの店のバニラアイスが食べたいわ ダーリン」
なんて会話があったのかも…
どこまでいっても想像であることには変わらないのですが
考えれば考えるほど素敵な物語が出来上がっていきます。
「おじさん」よりも
「ライブ会場にいるおじさん」
「ライブ会場でニコニコしてるおじさん」
「ライブ会場で毎日ニコニコしてるおじさん」
ディテールにこそストーリーが宿っていきます。
ライブ会場であんなに楽しそうなおじさん達を見たら
僕はその裏側にあるストーリーを想像せずにはいられないというわけです。
おじさんの裏側ストーリーは次の機会にするとして…
そんな僕の想像力を掻き立てる愛すべきおじさん達にはいつまでも現場を楽しんでもらいたいと思っています。
そして応援するからにはやっぱり「推し」に少しでも喜んでもらいたいですよね!
ただ現場で注意しなければならない事があります。
それが「ネガティブおじさん」
こう聞くとおじさんに対してマイナスな印象が先行しそうですが…
僕はおじさんの味方なので、少し目線を変えていきましょう。
おじさんはよくこう言います。
「ダンスはともあれ今日はいいライブだったね!」
確かに言っていることは間違ってないのかもしれませんが
その言葉を受け取る側は
「わざわざ言う必要のないネガティブポイント」を聞いてモヤモヤします。
僕もおじさんなのでネガティブおじさんの表現したいことはよくわかります。
アイドルの皆さんには是非理解してほしい部分なのですが
おじさんは決してネガティブ発言をしたいわけではないのです。
ただ単に
「今日いいライブだったね!」以上の表現力を持ち合わせていないのです!
おじさんの頭にあるコンピューターは推しに会うだけで
オーバーヒート気味なわけで(きゃぱい)
「いいライブだったね!」
「わー」
「会話の間を埋めなきゃ!」
「わーーー」
「せっかく推しと話すなら活動のためになることを伝えなきゃ!」
「わーーーー」
と考えた結果
本来「今日も配信疲れをカバーするためにダンスの動きを小さめにする工夫をして、その分あえて衣装を豪華にして会場の雰囲気とマッチさせたことでステージでの姿を際立たせていていいライブだったね!」
略して
「ダンスはともあれ今日はいいライブだったね!」なわけです。
ちょっぴり言葉足らずのおじさん達をどうか広い心で許してあげてください。
しかし僕らおじさん勢もいつまでも推しの優しさに甘えていてはいけません。
アイドルは言葉に敏感な人種です。
どう表現すれば推しに直接思いの丈を伝えられるのか考えてみましょう。
推しに直接思いが伝わる表現つまりアイドルが言われて嬉しい事
それは「共感」です。
「最近前髪きったの」→「前髪切ったんだね」
「今日はダンスでミスらなかった」→「ミスらなかったよね」
「面白い話があるんだけど…」→「あはは。」
必要なのは「アドバイス」や「粗探し」ではなく
まず肯定して共感してあげることです。
正解がない道を進んでいるアイドルの心は不安でいっぱいです。
推してくれる人たちに肯定してもらえるだけで心が安定します。
それでも推しに思いが上手に伝えられない時はこう言えばいいんです。
「今日はネイルまで可愛くて最高だね!」
(数少ない僕の経験をもとにすると)
女子はネイルを褒めれば喜びます。(語弊)
きっとそれはおじさん達が上司から言われる
「君の仕事は細い部分まで気が利いてる。任せてよかったよ」と同義です。
上司に褒められるとテンションあがりますよね!
(決してアイドルの上司になれという意味ではありません)
次回物販に並ぶ機会があれば推しに是非そう伝えてあげてください。
今日からイケてるおじさんになりましょう!
ただ、このブログが公開されるとこの技が使えなくなってしまうのが諸刃の剣…
きっと次回のライブ会場の楽屋ではこんな会話をアイドルがしているはずです。
「今日やたらネイル褒められるんだけど…???」
説教を始めたり傘でゴルフの練習をしていたり、
酔うと頭にネクタイを巻くようなおじさん。
僕はそんな愉快な人たちが大好きですが
スタッフよりも推しに推されるおじさんになってほしいなと思います。
江口いちごの物販で何を話そうか迷ったら…
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